M.R.
グローバル生産本部 メキシコ工場品質管理担当 / 入社5年目
2021年入社。大学で生産工学を専攻。入社後、国内工場の品質管理部門を経て、2023年にメキシコ・アグアスカリエンテス工場に品質管理トレーナーとして赴任。約6,000人の現場スタッフと共に品質改善に取り組む。
「日本のやり方」は通用しなかった
メキシコに赴任して最初にぶつかったのは、品質管理の「伝え方」でした。日本の工場では、暗黙のうちに共有されている品質基準がある。でもここでは、6,000人のスタッフの大半がハーネス製造の経験が浅く、「なぜこの検査が必要なのか」から説明しなければならなかった。
マニュアルを翻訳して渡すだけでは、何も変わりませんでした。言葉の壁だけでなく、品質に対する「あたりまえ」の感覚が違う。それに気づくまでに、正直3ヶ月かかりました。
ピカピカキャンペーン——見える変化から始める
転機になったのは、日本の工場で行われていた「ピカピカキャンペーン」を現地流にアレンジして導入したことです。自分のワークステーションを毎日の終わりにピカピカにする。単純なことですが、整理整頓が習慣になると、不良品の見落としが目に見えて減ったのです。
スペイン語で「Campaña Pika Pika」と名付けたところ、現地スタッフが面白がって自発的に取り組み始めた。日本語の響きが新鮮だったようです。品質改善の第一歩は、堅い研修ではなく、「やってみたい」と思える仕掛けだと学びました。
G-STARS——技能認定の喜び
住友電装グループには「G-STARS」という独自の技能認定制度があります。ハーネス製造の各工程で、一定の品質水準を満たす技能を持つスタッフを認定するものです。
メキシコ工場では、赴任前は認定者がほとんどいませんでした。私は現地のリーダーたちと一緒にトレーニングプログラムを組み、週2回の実技指導を1年間続けました。
最初の認定試験で、12人が合格した日のことは忘れられません。合格したスタッフが、認定バッジを胸につけて生産ラインに戻る姿。周りのスタッフが「おめでとう」と声をかける。品質が「やらされるもの」から「誇れるもの」に変わった瞬間でした。
数字で見える成果、数字では見えない成果
赴任から1年半で、工程内不良率は32%改善しました。OEMパートナーへの納入品質クレームもゼロを達成。数字としては十分な成果です。
でも、私にとって一番大きかったのは、現地スタッフの「目つき」が変わったことです。以前はラインの異常を見つけても報告しなかった人が、自分から「ここ、おかしくないですか?」と言ってくるようになった。品質は言葉を越える——そのことを、メキシコの仲間たちが教えてくれました。
世界同一最高品質のために
住友電装のSWS WAYには「世界同一最高品質」という考え方があります。33ヵ国109拠点、どの工場で作っても同じ品質。それは、マニュアルだけでは実現できません。現場の一人ひとりが「なぜこの品質が必要なのか」を理解し、自分ごとにすること。
帰任後は、メキシコでの経験をベースに、他の海外拠点向けの品質トレーニングプログラムを開発しています。次はインドネシア工場。また新しい「あたりまえ」に出会えることを楽しみにしています。
「G-STARSの技能認定に合格した現地スタッフの笑顔が、一番の報酬でした」
M.R. / グローバル生産本部 メキシコ工場品質管理担当
メキシコ赴任中のある1日
| 7:00 | 出社、ラインの始業前点検を現地リーダーと確認 |
|---|---|
| 8:00 | 朝会(スペイン語+通訳)、前日の品質データ共有 |
| 9:00 | 生産ラインの巡回、作業手順の観察・指導 |
| 12:00 | 昼食(現地スタッフと一緒にタコス) |
| 13:00 | G-STARSトレーニング(実技指導) |
| 15:00 | 品質改善ミーティング(現地リーダー5名) |
| 16:30 | 日本本社とのオンライン報告(時差14時間) |
| 17:30 | 退社 |